…フラメンコは実は悲しい踊りなのだという。“淡麗生”みたいなラテンギターの掛け合いの調べと張り上げるヴォーカル、手拍子、タップのリズム、情熱のほとばしるような、こぼれるような、キメ細かなダンス。オプションツアーで申し込んだ、裏通りのレストランで催された今夜のフラメンコショーは、サングリア(ワインにぶつ切りの果物をたっぷり浸した飲みやすいお酒)のほろ酔いも手伝って、忘れ得ぬ夜になりました。ただ、フラメンコというものは踊り子さんが両手にカスタネットを必ず持って(持つ場合は確かにそうだったけど、持たないで手拍子をしながら踊る曲の方が多かった)、赤い薔薇なんかくわえて(衣装はその度変えてたけど、この演出は一度もなかった…)、若い娘さんが(おばちゃんも、男の、しかもチョビヒゲアゴヒゲスケシャツ胸毛縮れ毛束髪な海賊チックなダンサーも踊ってた)踊るというイメージは楽しく打ち壊され、ラテンに打たれてセビリアの夜は暮れていきます。
あ、もちろん今日見たロンダの橋の上からの足のすくむ絶景も、ミルクたっぷりのコーヒーが体においしかったカフェも、特製の焼いた豚肉を挟んだサンドイッチがびっくりするくらいおいしかったバル(スペインの人々がちょっと飲み食いできるお店)も、いちいちオリエンタルなセビリアの街ももちろんすばらしかったのですよ。
それとみんな、これだけは覚えておいてくれ。スペイン語で「白いニンニク」は『アホブランコ』って言うんだぜ、ポルファボール。